民間信仰にある灯籠流しのイメージをコンセプトに創られたこのダンスは、新鋭の振付師である蔡博丞(ベンソン・ツァイ)が、人生のステージの変遷や、悲しみや喜びに溢れた感情、自分ひとりでは成し遂げられなかった数々の瞬間など、人生におけるさまざまな体験を通して得られた感覚を表現したもの。ただ心を信仰にゆだねることしかできず、水の流れが希望を遠くへと押し流すにつれて、まだ見ぬ未来への畏怖を消し去ることができるということを表現している。
かつてツァイは「振付は、命の輝きと哀しみを私自身に見つめさせるもの。『浮花/フローティング・フラワーズ』では、人生が存在する意義を問い直す。複雑に入り組んだ耐え難いほどの苦境を潜り込ませており、詩を書くのと同じように、この矛盾を淡々と、しなやかなスタイルで皮肉とユーモアによって解釈している」と語っている。
人生には心配したり恐れたりしたことがあったかもしれず、もがきや抵抗があったかもしれない。ツァイの舞台は、アイロニーとユーモアにより、現実の困難な境遇にあり、人はどのように振る舞うのかを対比させる。